2021
09/27
月
前回は「仁王門~登廊」の下登廊までを紹介しました。
今回は奈良『長谷寺』(はせでら)の誇る、国宝と御本尊大観音の拝観となります(^^)/
百八間ある長い登廊は上・中・下に分かれております。下登廊を登り終えると、右へ90度以上曲がり「中登廊」に入ります。登廊の外脇の段々には大小様々な形の灯籠が据えられています。
中登廊の終点には「蔵王堂」がありました。
天正五年(1577)の創建で蔵王権現を祀っています。
「上登廊」です。一定の間隔で続く支柱と長谷型と呼ばれる丸い灯籠が、優雅で気品ある美しさを生みだしています。因みに石段は三九九段あるようです(^^;)
登廊を登りきると鐘楼堂の下に出ます。左手には本堂が見えます。
鐘楼堂の北側に少し開けた場所があり、その右側に御朱印所があります。御朱印の数もたくさんありますので、お参りする場所を考えて数種類の御朱印をいただいて参りました。
境内北側の高台には「愛染堂」があります。もちろん愛染明王を本尊とし、安土桃山時代の天正十六年(1588年)に観海上人が建立しました。
御朱印所の前から撮りました、「鐘楼堂」と「本堂」です。登廊の屋根が鐘楼にぶつかっているのがわかります。
先程の鐘楼の下の通路をまっすぐ本堂側に進むと、下の写真の場所に出ます。本堂の真ん中に通路がありますが、右が正堂(内陣)で御本尊が祀られている場所になります。左が礼堂(外陣)となります。
正堂(内陣)には「國寶本堂」(國は国、寶は宝の旧字)の札が堂々掲げられています。本堂は2004年に国宝指定されました。本堂受付にて特別拝観一人1000円を払い、普段は見ることのできない大観音の拝観に行きます。
前回のブログにあった特別拝観の看板にありますが、普段は関係者以外立入禁止となっている国宝本堂の中に入る事ができ、10mを超える大きな観音さまのお御足(おみあし)に直接触れてお参り出来ます。
又、御本尊を中央に配置して、内陣周囲に数々の仏像や図を配しながら全てを拝観できるように工夫されていました。残念ながら撮影は禁止となっていますので、リーフレットにありました御本尊の写真を転載させてもらいました(^^;)
先程の本堂通路から
撮影した礼堂(外陣)です。南に面しているので日の光がまぶしいくらい差し込み明るい礼堂となっています。床の板張りに光沢があり、綺麗に使われてきたのがわかります。

初瀬山中腹の断崖絶壁に造られた本堂は、清水寺と同じ縣造り(舞台造)となっています。
その舞台からの本堂(礼堂)になります。本瓦葺き入母屋造りは正堂も同じですが、正堂の屋根下につくようにできているので、屋根の高さは若干低いです。そのため南側から見ると横に長く感じられます。
巨大な扁額「大悲閣」とは観世音菩薩を安置した仏堂のことを表しているようです。
舞台側から正堂に祀られている御本尊さまのお顔を見ることができました。観音様の大きさがよくわかります。
↑このあたり中程に観音様のお顔あり
舞台側からの礼堂です。床の杢目が美しい(^^)/
舞台から見える五重塔と、山の緑の調和がとても美しいです。
中心にある一番奥の建物が本坊です。先程の五重塔から本坊まで、山の中腹全体に配された長谷寺の規模がよくわかる眺望でした。
長谷寺の「時の貝」である鐘楼堂にて、ホラ貝を吹く姿を本坊にて拝聴いたしました(^^)/
【枕草子】師の坊に
をのこども・女・(わらべ)などみなゆきて つれづれなるに
ただ傍に貝(ほら貝)を 俄かに吹き出したるこそ いみじう驚かるれ
「枕草子の作者、清少納言をおどろかしたホラ貝の音は、今も昔と変らず、一千年余の時を経るも、こもりくの初瀬の山々にこだまし、一山の僧侶・参詣者・町の人びとに時を告げている。
長谷寺の時報は、明け(午前六時)の鐘に始まり、十二時は貝と鐘、夜の八時の貝で終わる。法要等の行事には、集会(しゅうえ)の太鼓を打ち半鐘を鳴らして、用意・入堂などを合図する。このように長谷寺の一日は鐘・ホラ貝・太鼓・半鐘によって時を告げ、行事を知らせて規律ある行動をする。
うっそうと茂る東の山が大初瀬山(おおはつせやま)で与喜山と呼び、天照大神常影向の御神体山であり、西の山は小初瀬山(おはつせやま)で観音山と称し、十一面観世音菩薩を安置する。この両山が一体となって初瀬山を構成する。神仏一体即ち神仏習合の信仰を象徴する。
長谷寺本堂は、舞台作り建造物としては日本一の代表建築であるが、その舞台は単に眺望のためのみではない“与喜山礼”即ち天照大神をはじめ諸仏・諸神を拝礼する信仰の場所でもある。古図によると、現在の舞台より更に突出した形で、初瀬の全容を拝するように造られていた。時の貝は、この舞台入口の東南の角で吹く習慣で、つまり時計台の役割も果たしていて、現在では鐘楼堂にて吹いている。」
特別拝観限定御朱印です。
場所:長谷寺





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